税理士試験の科目選択戦略と独学の可否

会計・簿記

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「税理士を目指したいけれど、どの科目から手をつければいいのかわからない」「仕事をしながら独学で合格できるのだろうか」——そんな悩みを抱えている社会人の方は少なくないはずです。

税理士試験は、会計科目2科目と税法科目3科目の合計5科目に合格する必要がある難関国家資格です。社会人が仕事と両立しながら挑戦するには、科目選択の戦略と学習スタイルの見極めが特に重要になります。この記事では、令和5年度からの受験資格緩和を踏まえた最新の情報とともに、科目選択の考え方や独学の現実について整理します。

この記事でわかること

  • 税理士試験の科目構成と、令和5年度からの受験資格緩和の概要
  • 科目選択で悩む社会人に向けた戦略的な選び方の考え方
  • 独学・通信講座・予備校それぞれの特徴と費用感の比較

本記事の内容は一例であり、理解度や学習環境によって成果には個人差があります。


税理士試験の全体像|5科目合格制度を正しく理解する

税理士試験は、11科目のなかから指定の要件を満たす5科目に合格することで資格取得となる仕組みです。一度合格した科目は生涯有効であるため、複数年かけて1科目ずつ積み上げていくことができます。

科目の分類は次のとおりです。

必須科目(会計科目):2科目すべて合格が必要

  • 簿記論
  • 財務諸表論

選択必須科目(税法科目):どちらか1科目以上が必要

  • 法人税法
  • 所得税法

選択科目(税法科目):上記以外から2科目を選択

  • 相続税法
  • 消費税法
  • 固定資産税
  • 国税徴収法
  • 事業税
  • 住民税
  • 酒税法

令和5年度(第73回)から、簿記論・財務諸表論の2科目については受験資格が撤廃されました。これにより、学歴や職歴を問わず誰でも会計科目から挑戦できるようになっています。税法科目については、引き続き学歴・職歴・資格のいずれかの要件を満たす必要があります(出典:国税庁 税理士試験受験資格)。

また、令和8年度(第76回)試験からは、試験申込・結果確認・各種申請のオンライン化も進む予定であり、受験環境の整備が進んでいます。


科目別の難易度と合格率の傾向

科目によって合格率には大きな差があります。LEC東京リーガルマインドが公表しているデータ(出典:lec-jp.com 税理士試験ページ)によると、直近の科目別合格率はおおよそ以下のとおりです。

科目 合格率(直近) 受験者数(直近)
簿記論 11.1% 18,466人
財務諸表論 31.9% 15,629人
法人税法 13.5% 3,606人
所得税法 13.0% 1,120人
相続税法 13.8% 2,413人
消費税法 10.1% 7,064人
国税徴収法 13.8% 1,671人
固定資産税 15.5% 928人
住民税 17.8% 439人
事業税 12.3% 310人
酒税法 12.2% 590人

(出典:LEC東京リーガルマインド 税理士試験ページ)

数値を見ると、財務諸表論は31.9%と相対的に高い合格率であることがわかります。一方、簿記論は11.1%と低く、同じ会計科目でも難易度のばらつきがある点は、学習計画を立てる際の重要な参考情報になります。

なお、住民税・固定資産税など「ミニ税法」と呼ばれる科目は受験者数が少なく、合格率のデータが安定しない傾向があります。単純な数値だけで難易度を判断しないよう注意してください。


科目選択の戦略|社会人が考えるべき3つの軸

どの科目を選ぶかは、単に「合格しやすいかどうか」だけで判断するのではなく、次の3つの軸を組み合わせて考えることが大切です。

軸①:将来のキャリアプランとの整合性

  • 法人顧問業務を中心にしたい方 → 法人税法・消費税法
  • 相続・資産税の専門家を目指す方 → 相続税法・固定資産税
  • 個人事業主や個人の確定申告を扱いたい方 → 所得税法・消費税法

資格取得後に「何を専門にしたいか」から逆算すると、科目選択の方向性が見えやすくなります。

軸②:学習量・負担感のバランス

科目ごとに必要な学習時間の目安は大きく異なります。参考として以下の時間を示しますが、これは個人差が大きいため、あくまで一つの参考として捉えてください。

  • 簿記論・財務諸表論:各400〜500時間程度
  • 法人税法・所得税法:各600〜700時間程度
  • 相続税法:400〜500時間程度
  • 国税徴収法:150時間程度

(出典:TAC公式サイト 2026年版講座案内・資格の大原公式サイト 2026年版講座案内を参考に整理。個人差があります)

仕事をしながら学習する場合は、年間で確保できる学習時間から逆算して「1年に何科目挑戦できるか」を現実的に設定することが重要です。

軸③:科目間のシナジー

会計科目(簿記論・財務諸表論)は税法科目の理解を深める土台になるため、まず2科目を取得してから税法科目へ進む流れが、多くの受験者に取り組まれています。また、消費税法は法人税法・所得税法との関連が深く、一方の学習が他方の理解を助けることがあるとされています。


独学の可否|現実的なメリットとデメリットを整理する

「独学で税理士試験に合格できるのか」は、多くの受験者が気になるテーマです。結論から言えば、不可能ではないものの、特に税法科目では相応の準備と工夫が求められる試験です。

独学のメリット

  • 自分のペースで学習を進められる
  • 受講料が不要で費用を抑えられる
  • 教材をカスタマイズしやすい

独学のデメリット・注意点

  • 税法科目は法改正への対応が必要で、最新情報の収集が負担になる
  • 市販の税理士試験向けテキストは種類が限られており、網羅性に課題がある場合がある
  • 解法のポイントや答案の書き方を独力で習得するのに時間を要する傾向がある
  • 学習ペースの管理やモチベーション維持が困難になりやすい

実際に独学で複数科目に合格した方の体験談として、「基礎固めを徹底し、予備校が出版している問題集を過去問代わりに活用した」「スケジュールを週単位で見直しながら進めた」といった取り組みが共有されています。独学を選ぶ際は、こうした情報を参考にしながら自分なりの方法論を構築していくことが求められます。

会計科目(簿記論・財務諸表論)は比較的市販教材が充実しており、独学にも取り組みやすい面があります。一方で税法科目、特に法人税法や所得税法のような大型科目は、法改正対応や理論暗記の量が多く、独学のハードルが高くなる傾向があります。


通信講座・予備校の比較|費用と特徴を知る

独学と通信講座・予備校の選択に迷っている方のために、代表的なサービスの特徴を整理します。

比較表では各社の公式情報・各種案内を参考に掲載していますが、料金は変更される場合があるため、最新情報は各社の公式サイトでご確認ください。

サービス 特徴 費用目安
スタディング スマホ中心でスキマ学習向け・低価格帯 簿財2科目セット59,800円〜、税法1科目46,800円〜
クレアール 非常識合格法など独自カリキュラム・サポート充実 科目・コースにより異なる
LEC東京リーガルマインド 実績豊富な大手・教室・通信両対応 1科目あたり約15〜25万円程度(コースにより異なる)
TAC 大手予備校・多彩なコース設定 1科目あたり約15万円〜(受験経験者向け上級コース目安)
資格の大原 専門学校系・質の高い教材と講義 簿財初学者パックで約383,000円〜(2026年時点の案内情報より)

(出典:各社公式サイト・案内資料をもとに整理。料金は変動します)

通信講座の場合、1科目あたりの費用は安いもので5万円前後、大手予備校系で15〜25万円程度と幅があります。5科目すべてを受講する場合、費用の総額は大きく異なるため、長期計画を見据えた費用設計が大切です。

コスト面を重視する方にはスタディングや

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が選択肢になり得ます。また、学習サポートやカリキュラムの充実度を優先したい方は
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のような実績のある予備校系サービスを比較検討してみてください。


社会人の学習スタイル別アドバイス

平日の学習時間が限られる方へ

「毎日2時間確保するのが難しい」という社会人は多いはずです。そのような場合は、まず週末に集中学習の時間を設け、平日は通勤時間などの隙間時間を活用した復習中心の学習スタイルが現実的な選択になります。

スタディングのようにスマートフォンで完結する通信講座は、こうした学習スタイルとの相性がよいとされています。

簿記の知識がある方へ

日商簿記2級程度の知識がある場合、簿記論・財務諸表論の学習に入りやすい面があります。まず会計科目で試験の感覚をつかみ、徐々に税法科目へ移行していく計画を立てることが、無理なく進めるためのアプローチのひとつです。

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のような問題集を使って、まず問題形式に慣れることから始めてみてください。

全くの初学者の方へ

簿記の知識が薄い場合は、まず日商簿記3級・2級程度の学習から始めることが、その後の税理士試験の学習を安定させる助けになります。遠回りに見えても、多くの合格者が有効だと評価しているアプローチです。


長期戦を乗り越えるための学習設計の考え方

税理士試験は長期にわたる試験であるため、単年の計画だけでなく複数年を見据えたロードマップの設計が重要です。

学習設計の基本ステップ

  1. 目標年数を設定する:3年・5年など、無理のない期間設定から始める
  2. 年度ごとの科目数を決める:初年度は1〜2科目から始め、徐々に増やすことも一つの方法
  3. 試験日から逆算する:税理士試験は例年8月に実施されるため、1月ごろから本格始動するスケジュールが取り組まれています(出典:国税庁 税理士試験について)
  4. 定期的な見直しを組み込む:月1回程度、学習の進捗と計画を照らし合わせる習慣を持つ
  5. 1科目合格の達成感を大切にする:5科目を一度に目指すのではなく、1科目ずつの合格を積み重ねることで、モチベーションを維持しやすくなります

ある社会人受験者は、「最初の1年は簿記論だけに集中すると決めた。全科目を同時に見ようとすると全部が中途半端になる」と振り返っていました。集中と選択が、長期戦の鍵になります。


まとめ|次のアクションを考えてみてください

税理士試験の科目選択と学習スタイルの選び方についてまとめると、次の点が参考になります。

  • まず会計科目(簿記論・財務諸表論)から始める ことで、受験資格の問題を回避しつつ税理士試験の土台を築くことができます
  • 科目選択は「キャリア・学習量・科目間のシナジー」の3軸 で考えると、自分に合った組み合わせが見えやすくなります
  • 独学は会計科目では取り組みやすく、税法科目(特に大型科目)では難易度が上がる 傾向があります
  • 通信講座は費用とサポートのバランスで選ぶと、学習スタイルに合ったものを選びやすくなります

まずは各サービスの資料請求や無料体験を活用して、自分が継続できる学習環境を探してみてください。税理士試験は、適切な準備と計画によって社会人でも科目を積み重ねていける試験です。

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免責事項

本記事は情報提供を目的としており、特定のサービスを推奨するものではありません。料金・制度情報は変更される場合があります。受験資格・試験日程・最新の制度については、国税庁の公式サイト(https://www.nta.go.jp/)でご確認ください。掲載している合格率・受験者数のデータは出典記載のものに基づきますが、試験年度によって変動します。本記事の内容は一例であり、理解度や学習環境によって成果には個人差があります。


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